ウェビナー配信に必要な機材や選び方のポイントを解説
オンライン上で開催するセミナーである「ウェビナー」は、自社商品やサービスのプロモーションや採用の説明会など、さまざまな目的で開催されます。
ウェビナーを配信するだけであれば、必要な機材はそれほど多くありません。しかし、参加者が満足するようなクオリティの高いウェビナーを配信するためには、機材にこだわる必要があります。
そこで本記事では、ウェビナー配信に最低限必要な機材、質を上げる機材の選び方、あると便利な機材について詳しく解説します。
ウェビナーの配信に最低限必要なもの
ウェビナーの配信に最低限必要な機材について解説します。映像と音声を届けることが目的ならば、PCなど手持ちの機材だけで対応できるでしょう。
PC
ウェビナーの開催には、ウェビナー配信向けのツールがインストールされた機材が必要です。
スマートフォンやタブレットでも対応できますが、 ウェビナーでは安定性の高いインターネットの有線接続が推奨されている場合がほとんどです 。そのため、有線接続が可能なPCの使用がおすすめです。
PCは、デスクトップPCよりも持ち運びに便利なノートPCが良いでしょう。カメラやマイクが標準で内蔵されているノートPCであれば、インターネットに繋ぐだけでウェビナーが開催できます。
Webカメラ
ウェビナーではカメラで撮影された映像を配信します。PCにカメラが内蔵されていない場合、別途Webカメラを準備する必要があります。
Webカメラの用意が難しい場合は、 スマートフォンとPCを接続することでWeb カメラとして使用することができます。 スマートフォン用のスタンドやアームがあると、PCに固定しやすくなります 。
マイク
ウェビナーではマイクで拾った講師の音声を参加者に届ける必要があります。
マイクの音質にこだわりたい場合は外付けマイクの購入がおすすめですが、内蔵のマイクでもウェビナーの配信は可能です 。音質をテストし、クオリティを十分満たしていると思うのであれば、マイクを別途用意する必要はないでしょう。
PC にマイクが内蔵されていない場合は、外付けマイクが必要です。
インターネット環境
ウェビナーはオンライン上で行うため、インターネット環境の整備は不可欠です。
インターネット回線にはモバイルWi-FiやCATV接続など、さまざまな種類がありますが、ウェビナーの場合、 安定した通信が可能な光回線がおすすめです 。より安定性を求める場合は有線接続をおこなうと良いでしょう。
ウェビナーでは映像や音声の配信を行いますが、実はウェビナーに求められる通信速度はそれほど速くありません。ウェビナーツールとしてよく用いられるZoomウェビナーによると、ウェビナー配信に最低限必要な通信速度は上下ともに1.0Mbpsです。高画質の配信であっても10Mbpsあれば十分です。
そのため、光回線ほどの安定性はありませんが、モバイルWi-Fiやスマートフォンの通信でも、ウェビナーの開催は可能です。
ウェビナーの質を上げる機材選びのポイント
高性能な機材を選べば映像や音声の質が上がり、参加者にクオリティの高いウェビナーを提供できます。ここでは、ウェビナーの質を上げる機材選びのポイントを具体的に解説します。
配信ツールの推奨スペックを満たすPCを選ぶ
ウェビナーを安定して配信するには、ある程度のスペックを持ったPCが必要です。 中古や低価格のPCは処理性能が低いことが多く、配信が遅延したり、停止したりする可能性があります 。
参考として、Zoomに必要なスペックは以下の通りです。
要件 | 最低限 | 推奨 |
プロセッサ | シングルコア1GHz以上 | デュアルコア2GHz以上(i3/i5/i7またはAMD相当) |
RAM | - | 4GB |
もしPCの購入予定があるのなら、もう少しスペックに余裕を見ておくことをおすすめします。ウェビナー配信では、ウェビナーツール以外に複数のソフトを立ち上げて配信することもあるためです。
目安として、プロセッサはCore i7相当以上、RAMは8GB以上、余裕があれば16GBあると安心です。これだけのスペックがあれば、Zoom以外のツールでも余裕を持って配信ができます。
Webカメラはフレームレートと画角を重視する
Webカメラの品質に大きく関係するのが、「フレームレート」と「画角」です。
フレームレート(fps)とは、1秒間に何枚の画像で映像を構成するかを表したものです。フレームレートが高いほど、参加者になめらかな映像を配信できます。
人が違和感なく視聴できるフレームレートは24〜30fpsと言われています。Webカメラを選ぶときは30fpsに対応しているかどうかを目安にしましょう。
画角とは、カメラで撮影できる範囲を角度で表したもので、ウェビナーの場合は90度を目安にすると良いでしょう。一般的なカメラの画角は75度ですが、アップになりすぎてしまうこともあります。90度以上あれば、複数人が登壇するウェビナーでも無理なく映せます。
単一指向性の有線マイクを選ぶ
マイクの音質を向上させるには、単一指向性で有線接続のマイクを選ぶのがおすすめです。
単一指向性のマイクは一つの方向の音のみを拾います。周りの雑音を拾いにくく、クリアな音声を配信できます 。
また、有線接続のマイクは電波やノイズの影響を受けにくく、音声も途切れにくいためウェビナーにおすすめです。無線接続のマイクは周囲の電波に干渉しやすく、オフィスなどではノイズが入ったり、音声が途切れたりする可能性があります。
インターネットに有線接続する
リアルタイム配信でウェビナーを開催する場合、有線LAN接続を行うことで安定性が向上します。
また、建物内で共用回線を使用している場合は、専用回線の導入がおすすめです。同じ建物内でウェビナーを同時開催していたり、動画のアップロードなど回線に負荷のかかる作業を行ったりしていると、回線速度が落ちて不安定になってしまいます。
専用回線と既存の回線のどちらも利用できるようにしておけば、専用回線にトラブルが起きた場合でも安心です 。
ウェビナー配信にあると便利なおすすめの機材
ウェビナーの映像や音声のクオリティをさらに上げたい方は、ここから紹介する機材の導入を検討しましょう。
照明
照明の有無は、ウェビナーの講師の印象を大きく左右します。
照明があれば講師の表情が見えやすくなり、画面越しに見ている参加者に良い印象を与えます 。また、商品やサービスを紹介する場合や、ホワイトボードを使った解説を行う際に、十分な明るさがないと映像が見えづらくなります。
ウェビナーでの明るさが足りないと感じた場合は、照明を別途用意することを検討しましょう。光量や色味を調整できるタイプであれば、幅広い場面で利用できます。さまざまな照明がありますが、LEDライトはチラつきにくく、省エネの面でも優れているのでおすすめです。
スイッチャー
スイッチャーは複数の映像を切り替えるための装置です。
ウェビナーでは、講師の話の途中で資料を映す場面がよくあります。 スイッチャーを使用することで、ウェビナーの進行を妨げることなく画面の切り替えが可能になります 。
ウェビナー配信に必須の機器ではないですが、予算があれば導入を検討してみてください。
三脚
WebカメラはノートPCやモニターの上部に設置する以外にも、三脚に固定して使用する方法があります。 カメラの設置場所を自由に調整できるため、映像のクオリティを上げるのにおすすめの機材です 。
Webカメラの中には三脚に対応していないものもあります。三脚を導入する場合は、手持ちのWebカメラに取付可能かどうか確認しておきましょう。
背景
背景を差し替えたいのであれば、グリーンバックと呼ばれる緑色の背景をセッティングしましょう。
グリーンバックはクロマキー合成で使用されます。クロマキー合成とは、切り抜き合成の技術のひとつで、緑色の部分を透明にして他の背景に差し替えることが可能です。
ごちゃごちゃして落ち着かない背景は、参加者の集中力を奪う要因になります。 シンプルな背景を用意できない場合は、グリーンバックでクロマキー合成を行いましょう 。
クロマキー合成では背景と同化しないように、緑系の服装は避けるようにします。グリーンバックは全身が収まる十分な大きさのものを用意しましょう。
プロジェクターやモニター
プロジェクターやモニターに資料を映しながら説明すると、現在、どの部分について話しているかをわかりやすく示せます 。また、口頭だけでは説明しにくい内容でも、表やグラフを映しながら説明することで、参加者がセミナーの内容を深く理解しやすくなります。
プロジェクターやモニターも必須ではありませんが、口頭の説明を補って情報をしっかりと伝えたい場合にはおすすめの機材です。
ポインター
ウェビナーではポインターがあると便利です。
一般的なレーザー式の赤いポインターは手ブレしやすく、モニターによっては見えなくなることがあります。
スライドによく使われるPowerPointやGoogleスライド、ウェビナーツールであるZoomでは、共有している画面上でポインター機能を利用できます。費用がかからないので、取り急ぎポインターを導入したい方は使ってみてください。
もしポインターを直感的に操作したいのであれば、ソフトウェアと連動できるポインターを別途購入しましょう 。参加者と画面共有をしている状況でも、画面上にポインターを表示できます。
編集ソフト
ウェビナーの様子を録画配信する際、動画編集ソフトを使うと質の高い動画に仕上げることができます。
映像に不要な部分がある場合は、カット編集で切り取っていきましょう。動画を切り取った後は冒頭から再生して、不自然な部分がないか確認しましょう。
字幕やテロップを挿入すると、ウェビナーの内容が伝わりやすくなります 。映像すべてに字幕を付ける方法もありますが、編集にあまり時間をかけられないときは、強調したい部分だけでも字幕をつけると良いでしょう。
AdobeのPremiere Proは使っている人が多く、わからないことがあってもWeb検索すれば多くの場合、解決方法がすぐに見つかります。操作もしやすく、おすすめの動画編集ソフトです。
ウェビナーに必要な機材まとめ
ウェビナーは、カメラとマイクが内蔵されたPCと、インターネット接続環境があれば、すぐに配信できます。しかし、参加者の満足度を高めるには、映像や音声のクオリティにこだわる必要があります。外付けのカメラやマイクを用意し、参加者にクリアな映像を届けましょう。
スイッチャーや三脚といったアイテムを使用すれば、さらに質の高いウェビナーになるでしょう。
この記事を参考にして機材を準備し、最適なウェビナーの配信環境を整えてください。