オンライン接客の市場が拡大している理由と調査結果を解説
近年はオンライン接客の市場が急激に拡大しています。この記事では、オンライン接客の市場規模についての調査結果を紹介しつつ、市場が拡大している理由を解説します。オンライン接客の導入を検討している企業であれば、市場全体の状況を把握することで、正しい判断をしやすくなるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
オンライン接客の市場規模についての調査結果
引用:Web接客市場は企業の新たなコミュニケーション・チャネルとして急拡大 新規参入ベンダーの増加もあり、2016年度は前年度比142.9%増 ITRがWeb接客市場規模推移および予測を発表│株式会社アイ・ティ・アール
https://www.itr.co.jp/company/press/180123PR.htmlまずはオンライン接客の市場規模についての調査結果を紹介します。「消費者はどんな商品・サービスでオンライン接客を受けたことがあるのか」を調べたアンケート調査の結果も参考にしてください。
急激な市場拡大が続くという予測がある
2018年1月に独立系IT調査会社である株式会社アイ・ティ・アールが、オンライン接客とほぼ同義である「Web接客」について、市場規模推移および予測を公開しました。Web接客市場は急激に拡大しており、今後も拡大が見込まれるというのが、その調査の結論です。
調査によれば 「Web接客市場の2016年度の売上金額は17億円、前年度比142.9%増の急速な伸び」 となりました。そして、2021年度にはWeb接客市場の売上金額は75億円に達すると予測されています。
この調査では、2020年から深刻化した新型コロナウイルスの影響は考慮されていません。感染症対策としてオンライン接客が注目されている現状を考えると、実際の市場規模は、この予測よりも拡大している可能性があります。
チャットでのオンライン接客を受けた人が多い商品・サービス
新型コロナウイルスの影響下である2020年11月に、ライフネット生命保険株式会社がオンライン接客に関する調査を公開しました。調査では、オンライン接客を以下の2種類に分類したうえで、消費者にアンケートを行っています。
- チャットでの接客:LINE、メッセンジャーアプリなど
- 動画での接客:Zoom、Google Meetなど
調査結果によれば「チャットでのオンライン接客を受けた人が多い商品・サービス」としては「アパレル」という回答が最多で、チャットでオンライン接客を受けたことがある人のうち32.3%を占めました。 アパレル商品は購入機会が多く、サイズや材質などに関して質問が生じやすいので、チャットでのオンライン接客を受けた人が多い のだと推測されます。
アパレル販売で注目されるオンライン接客!企業事例・メリットまで解説
ビデオ通話でのオンライン接客を受けた人が多い商品・サービス
ライフネット生命保険株式会社の調査では、どの商品・サービスで動画(ビデオ通話)での接客を受けた人が多いのかも調べられました。その結果、動画でのオンライン接客を受けた人が最も多かったのは「不動産(戸建て・マンション)で、動画でオンライン接客を受けたことがある人のうち24.8%を占めました。
購入頻度が少ない高額商材では、動画による接客が多い傾向があるようです。チャットよりも動画の方が、お互いの顔が見えるため信頼関係を構築しやすいので、高額商材と相性が良いのだと推測されます。
オンライン接客の中でもチャットと動画のどちらが好まれるかは、商品・サービスによって違いがあることが、調査によって明らかになりました。
オンライン接客の市場が拡大している理由
オンライン接客の市場が拡大している理由を4つ紹介します。これらの要因が互いに影響し合うことで、急激な市場拡大につながっているのだと考えられます。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの感染拡大は、オンライン接客の市場拡大の要因となっているでしょう。従来は当たり前だった店舗での接客が「感染リスクが高い行為」だと見なされたことによって、 代替手段としてオンライン接客が注目された からです。
とくに政府による緊急事態宣言が出された期間は、店舗を休業せざるをえない企業が多くなり、店舗スタッフの仕事が激減しました。そんな状況でもオンライン接客であれば、スタッフと顧客が物理的に接触しないため、感染リスクはほとんどありません。休業によってできた時間を活用した新たな取り組みとして、オンライン接客を導入する企業が増えました。
EC市場の拡大
EC市場が拡大していることも、オンライン接客の市場が拡大している理由のひとつです。オンライン接客によってECでの購入を促せるため、 ECとオンライン接客の相性は非常に良い といえます。インターネットを通じて買い物をする人が増えたことで、企業がオンライン接客に力を入れるようになりました。
不動産のように現地を訪れる必要性が高い商材でさえ、現在ではインターネットで比較・検討する人が増えています。より気軽に購入できる商品・サービスであれば、オンラインでの情報のみで購入の意思決定をする人は多いのです。今後もEC市場の拡大は続くと見込まれるため、オンライン接客の市場拡大にもつながりやすいでしょう。
ITツールを導入する企業が増えた
オンライン接客の市場が拡大している理由として、ITツールを導入する企業が増えたことも挙げられます。オンライン接客を行うためには、チャットやビデオ通話を行うためのツールが必要です。企業がそうしたツールの導入に積極的に投資することで、 オンライン接客を始めやすい環境が整っている のです。
ITツールによってデータを収集し、データに基づいて改善することを重視する企業は、オンライン接客の導入を進める傾向があります。オンライン接客には、チャットでのやり取りやビデオ通話の録画映像などのデータを蓄積しやすい、という特徴があるからです。蓄積したデータを顧客対応の改善に役立てられる点は、オンライン接客のメリットのひとつです。
リアルな接客にこだわらない消費者が増えた
リアルな接客にこだわらない消費者が増えたことも、オンライン接客の市場が拡大している要因だといえます。 「店舗に行って実物を手に取り、接客を受けながら商品を買う」という購入方法に、あまり価値を感じない消費者が増加している のです。
とくに若い世代には、初めて買い物をしたころからインターネットでの購入が当たり前という「デジタルネイティブ」な消費者が多くいます。デジタルネイティブな人の中には、店舗でスタッフから声をかけられることを嫌う人も少なくありません。オンライン接客なら、ユーザーから求めない限りは声をかけられる心配がないため、リアルな接客よりもむしろ好まれる場合もあるのです。
オンライン接客の市場は今後も拡大すると見込まれる
紹介した予測の通り、オンライン接客の市場は今後も拡大すると見込まれています。すでにアパレルや不動産などの多種多様なビジネスで、オンライン接客が活用されています。今後も多くの企業が工夫を重ねることで、オンライン接客は使い勝手が向上し、より広く使われるようになるでしょう。
オンライン接客と一言でいっても、チャットとビデオ通話では違いがあります。状況に合わせて適切な方を導入しなければ、売上アップなどの成果にはつながりにくいでしょう。
また、他社の事例やデメリットなどを知っておくと、自社でオンライン接客を導入すべきかの判断がしやすくなります。オンライン接客についてより詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事もあわせてお読みください。