インサイドセールスとマーケティングの違いとは?各部門の連携を成功させるポイントも解説!
新型コロナウイルスの感染拡大以降、対面の営業活動を行なっていた企業が、非対面のインサイドセールスを取り入れるケースが増えています。
インサイドセールスは見込み顧客を育成(リードナーチャリング)して商談を実現していきますが、同じくリードナーチャリングを行うマーケティングとの違いを曖昧なまま理解している方も少なくありません。
この記事では、インサイドセールスとマーケティングの違いや、連携を成功させるポイントをご紹介します。
なお、インサイドセールスの概要や立ち上げのポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しているのでぜひご一読ください。
営業活動におけるインサイドセールスとマーケティングの位置づけ
インサイドセールスとマーケティングは、いずれも営業プロセスの中のひとつですが、それぞれの立ち位置はどのように違うのでしょうか。
米セールスフォース・ドットコム社が提唱する「 The Model 」では、営業プロセスを次の4つに分けています。
- マーケティング:リード獲得〜育成
- インサイドセールス:リード育成〜商談の獲得
- フィールドセールス:商談
- カスタマーサクセス:成約後のサポート
マーケティング部門が新規リードを獲得して、マーケティングオートメーション(MA)を使ってナーチャリングを行いながら、確度の高いリード(ホットリード)を抽出します。その後、インサイドセールス部門がホットリードに対してさらなる購買意欲の育成を行い、商談化するタイミングでフィールドセールスにパスをします。
インサイドセールスとマーケティングの違い
インサイドセールスとマーケティングは、商談につながるリードを見つける点では共通しています。しかし、ミクロな視点で比較すると、 両者は明確に違うもの だとわかります。
ここでは、目的や対象、営業手法に着目して、インサイドセールスとマーケティングの違いを解説します。
マーケティング | インサイドセールス | |
目的・役割 | ・集客 ・見込み顧客の獲得 ・見込み顧客の育成 |
・見込み顧客の育成 ・商談の獲得 |
対象 | ・市場 | ・顧客 |
主な営業手法 | ・web広告 ・メルマガ ・SNSマーケティング ・SEO ・展示会の出展など |
・電話 ・メール ・オンライン商談など |
目的・役割
マーケティングは、リードを獲得し、購買意欲を育成する活動全般を指します。顧客のニーズを分析して見込み顧客との接点を作り、新規リードの獲得や、MAを使ったナーチャリングを行います。
マーケティングでホットリードを抽出できたら、インサイドセールスに引き渡します。
インサイドセールスの目的は、受注につながりそうな顧客を見極めてフィールドセールスに橋渡しすることです。マーケティングから引き継いだ情報をもとに、メールや電話を活用しながら非対面のコミュニケーションを行って、関係構築をはかります。
マーケティングもインサイドセールスも、リードナーチャリングを行う点では同じ役割を担っていますが、その目的が異なります。 マーケティングはリード獲得、インサイドセールスはリードの育成が主な目的となります 。
対象
マーケティングとインサイドセールス以降のプロセスでは、対象が異なります。
マーケティング部門は、多くの見込み顧客にアプローチして、受注可能性の高いリードを獲得していきます。そのため、 マーケティング部門のターゲットは幅広い「市場」 となります。
一方、 インサイドセールスやフィールドセールス、カスタマーサクセスはひとりの「顧客」と実際に関係を構築しながら商談を進めます 。
マーケティングの目的は、市場の中から商談につながるリードを集めることです。そのため、マーケティングとインサイドセールスの対象の広さに違いはあるとしても、見ている対象は同じともいえるでしょう。
営業手法
マーケティングとインサイドセールスは目的や対象が違うため、両者の営業手法は異なります。
マーケティングはSEOやWeb広告、メールマガジンなどでアプローチを行います 。営業プロセスの中で一番多い人数を対象とするため、幅広くアプローチできる手段を用いて、自社サービスへの興味関心を集めていきます。
インサイドセールスは内勤営業を表し、電話やメール、オンライン商談ツールを用いてアプローチを行います 。マーケティングが集めたリードにアプローチするため、非対面でコミュニケーションがとれるツールを活用します。
インサイドセールスとマーケティング部門の連携を成功させるポイント
インサイドセールスとマーケティング部門の連携を成功させるポイントは、次の3つです。
- 各部門の指針となる目標を明確に定義する
- 各部門の役割を明確にする
- 各部門でデータを共有可能な状態にする
それぞれ詳しく解説します。
各部門の指針となる目標を明確に定義する
まず、各部門が同じ方向を向けるように、指針となる目標を明確に定義することが重要です。
The Modelのプロセスを取り入れる際の注意点として、各部門がそれぞれのKPIを追い求め、異なった業務を違う場所で行うため、次第に仲間意識が薄れがちな点があります。
営業プロセスの細分化による各部門の分断は、ある程度仕方がないといえます。大切なのは、 分断が起きても同じ目的に向かって進めるように、組織全体の目標を明確にする ことです。
また、同じ目標を持っていれば、各部門で何か問題が起きたときでも原因を調査しやすくなります。
各部門の役割を明確にする
各部門間で担当すべき業務の線引きを明確にしておくと、 責任の所在が明瞭になり、タスクが宙に浮くことを防げます 。
見込み顧客がリードとなり、購買の意思決定をするまでにどのようなプロセスをたどるかを事前に想定しておき、各部門が果たすべき役割をあらかじめ明確にします。役割を決める際は、各部門が同じ目標を持てているかどうかをチェックしましょう。
各部門の役割を明確にすると、マーケティングとインサイドセールスの業務範囲のすりあわせもしやすくなります。顧客対応をフローチャート化して、どのプロセスをどちらの部門が対応化するか明確にしておくと、スムーズな対応が可能です。
各部門でデータを共有可能な状態にする
ひとつの組織として成果を最大化するには、部門間での連携が欠かせません。連携がとれていないと、成約率や解約率などのKPIに異常があるときに、どの部門で解決すればいいのかわからなくなります。
成果が得られないときに問題を改善するためには、各部門でデータを取り続ける必要があります。データは、各部門の担当がいつでもアクセスできる状態にしておきましょう。 問題が起きたときに、改善点を組織全体で建設的に議論できます 。
マーケティングとインサイドセールスをはじめとした各部門の連携がとれたとき、組織として大きな成果を上げられます。
インサイドセールスとマーケティング部門の連携を強めて効果的なビジネスプロセスを確立させよう
マーケティングもインサイドセールスも、リードナーチャリングを行う点では共通しています。ただし、マーケティングは幅広い見込み客の中からのリードの獲得を、インサイドセールスはマーケティングで抽出したホットリードの育成を主な目的としています。
マーケティングとインサイドセールスの連携を成功させるには、組織全体の共通目標を共有して、同じ方向を向くことが重要です。何か問題が起きたときでも、問題の特定を素早く行えます。
この記事を参考にして、マーケティングとインサイドセールスの目的や役割を理解したうえで、インサイドセールスの導入を検討してみてください。